【6月10日 AFP】米プロバスケットボール協会(NBA)との対立を深めているロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)のドナルド・スターリング(Donald Sterling)オーナーが、同球団の所有権を守るためNBAと徹底的に争い、20億ドル(約2050億円)で売却する条件には合意しないことを決めたという。9日に現地メディアが報じた。

 自身の人種差別発言により、NBAのアダム・シルバー(Adam Silver)コミッショナーから永久追放処分を言い渡されたスターリング氏は、先週の時点で球団を20億ドルで売却することに合意したと弁護士を通して発表していた。

 スターリング氏の顧問弁護士であるマックスウェル・ブリーチャー(Maxwell Blecher)氏は、米スポーツ専門チャンネルESPNに宛てた電子メールで、「交渉不成立です」と述べ、スターリング氏がNBAとシルバー氏を相手取った10億ドル(約1025億円)の訴訟を取り下げる意思がないことを明かし、今後は売却についても関与しないという。


 スターリング氏は米NBCニュース(NBC News)に出した声明で、「自分の権利を守るために戦うことを決めた」と述べている。

「立場は悪くなるかもしれないが、私のプライバシーと適正手続の保障は、守られるべきだと思っている」

「チームを守るために戦うつもりだ」

「最初から、ロサンゼルス・クリッパーズを売りたくはなかった。チームを作り上げるのに33年を費やした」

 スターリング氏は、録音された私的会話の中で黒人をクリッパーズの試合に連れてきて欲しくないと交際相手に述べ、この女性が黒人男性と一緒に撮った写真をソーシャルメディア上に投稿したことを非難した事実を謝罪した。

「誤解のないよう言っておくが、私的に他人を傷つけるような発言をしたことを非常に申し訳なく思っている。すべては怒りと嫉妬から出た言葉で、私的会話の域を出ない」

「こんなことが発言に対する言い訳になるとは思っていないが、皆さんと同様、私的会話が公になるとは思っていなかった」

「私は、慌てたアダム・シルバーがクリッパーズの強制売却を不当に命じ、私をNBAから永久追放したと同時に罰金を科したのだと思う。きちんとした調査なしに、そういった行動を起こしたアダム・シルバーの判断は間違っていた」

(c)AFP