【6月10日 AFP】エジプトのアブデルファタフ・サイード・シシ(Abdel Fattah al-Sisi)新大統領の就任を祝う集会で女性が暴行される事件が複数あり、うち1件の被害者の生々しい動画が、インターネット上で激しい怒りを生んだことなどを受け、同国の警察は、性的暴行容疑で7人の男を逮捕した。当局が9日、発表した。

 動画には、8日に首都カイロ(Cairo)のタハリール広場(Tahrir Square)で起きた暴行事件の後、服をはぎ取られ、ひどい打撲傷を負った若い女性が、大勢の男性に囲まれながら警察官によって救急車に乗せられる姿が写されている。

 動画は携帯電話で撮影されたとみられ、ユーチューブ(YouTube)やフェイスブック(Facebook)、ツイッター(Twitter)といったソーシャルメディアで広く拡散した。

 ある治安当局者は、この動画の信ぴょう性を確認した上で、動画に写っている19歳の女学生を暴行し裸にした容疑で7人の男が逮捕されたと語った。女学生は病院に搬送され、検察は事件の捜査を開始。7人はさらに3件のセクシュアルハラスメント(セクハラ)事件に関与した疑いがあるという。

 また、エジプト内務省は、集会で複数の少女にセクハラをしたとして、警察は16~49歳の男7人を逮捕したと発表した。しかし、この7人が動画の女学生の暴行事件に関与したかどうかについては明確にしていない。

 反セクハラ団体「アイ・ソー・ハラスメント(I Saw Harassment)」は、このような暴行事件が頻発しているにもかかわらず、内務省の治安当局は防止対策を一切講じていないと非難。8日だけで5件の集団性的暴行事件があり、4人の被害者が医療機関の手当てを受けたと指摘した。

 国連(UN)が昨年発表した調査結果によると、エジプトでは99%以上の女性がなんらかのセクハラ被害に遭っている。さらに2011年にホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領を辞任に追い込んだエジプト革命以降、この問題は悪化を続け、このところタハリール広場周辺で行われる集会では、女性への集団暴行事件が相次いでいる。

 昨年7月にムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)大統領を失脚に導いた4日間の大規模なデモでは、100人近くの女性が性的暴行の被害に遭ったと、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)は当時報告している。

 エジプトでは8日の事件が起きる数日前、セクハラに対し禁錮刑や罰金といった厳罰を科す新法が暫定大統領によって承認されていた。(c)AFP