【6月9日 AFP】ブラジル・サンパウロ(Sao Paulo)で12日に行われるサッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の開会式では、脳からの信号で動きを操作するロボスーツを装着した下半身不随患者が、始蹴式のキッカーを務める予定だ。

 アメコミのヒーロー「アイアンマン(Iron Man)」さながらの未来的スーツは、下半身にまひがある人の歩行を補助するために、世界の科学者156人からなるチームが開発した。チームを率いる米デューク大学(Duke University)のブラジル人神経生物学者、ミゲル・ニコレリス(Miguel Nicolelis)氏は、30年にわたり研究を重ね、200以上の論文執筆に携わり、数えきれないほどの臨床試験を行ってきた。

 始蹴式では、ロボスーツを着用した下半身不随のキッカーがピッチに登場し、車いすを離れてボールを蹴る。性別を含むキッカーの詳細は本番まで秘密とされている。

 スーツ「脚部」の電子回路からの信号は、腕に装着した人工皮膚を通じて着用者に送られ、動作や触覚を伝える。ニコレリス氏によると、脳の活動によって制御され、患者に信号を送り返す外骨格スーツは史上初という。(c)AFP/Rosa SULLEIRO