高齢者施設から「脱走」した英退役軍人、国外で仲間とDデー祝う
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【6月7日 AFP】英国の高齢者施設から行方不明になっているとの通報があった第2次世界大戦の帰還兵が、フランスで開かれていたノルマンディー(Normandy)上陸作戦決行日の「Dデー(D-Day)」70周年記念行事に出席し、仲間の元兵士らとの再会を楽しんでいたことが分かった。警察当局が6日、明らかにした。
胸ポケットにメダルをかけ、その上にレインコートを着た英国海軍の元将校、バーナード・ジョーダン(Bernard Jordan)さん(89)は5日、同国南部の海辺の街、ホーブ(Hove)にある高齢者施設、「パインズ(The Pines)」を抜け出した。フランス北部ノルマンディー(Normandy)のウィストラム(Ouistreham)で開催されるDデー70周年の記念イベントに参加するためだ。団体旅行客に紛れ込み、同地に向かう大型バスに乗り込んだ。
英テレビ局ITVの取材に応えたジョーダンさんは、「私は昨年もここに来た。そしてご覧の通り、今年も来た…まだ生きていたら、来年もきっとまた来るよ」と語った。また、施設に戻ったら怒られるのではないかとの質問に対しては、「そうかもしれないが、そうならないことを願うよ」と答えた。
一方、当初は施設がジョーダンさんの記念式典への参加を禁じたと報じられていたが、施設側はそうした事実はないと主張している。施設を運営するグレースウェル・ヘルスケア(Gracewell Healthcare)のピーター・カーティス(Peter Curtis)社長は、「施設の職員は、ジョーダンさんに参加してもらうつもりだった。だが、申し込みが遅かったために実現しなかった」と説明した。
「いつものように街に出かけたジョーダンさんが帰ってこなかったため、5日夜に念のため、行方不明になったと警察に届けを出した。彼がノルマンディーに行くことをあきらめていないとは聞いていなかった」
施設のブログに掲載されているジョーダンさんを紹介する文章によると、ジョーダンさんは元ホーブ市長。マーガレット・サッチャー(Margaret Thatcher)元首相と面会したこともあり、人生で一番誇りに思えることの1つとして、この時のことを挙げている。
サセックス(Sussex)警察の報道官によると、ジョーダンさんの行方が分からなくなっていたのは12時間ほど。ジョーダンさんより少し年下の別の退役軍人が施設に、「無事だがフランスにいる」との連絡を入れたという。(c)AFP