【6月5日 AFP】米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)がアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相の携帯電話を盗聴していたとされる問題で、ドイツ連邦検察庁は4日、刑事事件として捜査を開始したと発表した。

 連邦議会法務委員会に予備捜査の開始を報告したハラルド・ランゲ(Harald Range)検事総長は、捜査対象となる米当局者は特定されていないと話している。

 だが、NSAが首相以外のドイツ国民も対象に行っていたとされる情報収集活動については、捜査対象から除外されたため、野党と社会民主党の議員らからは批判の声が上がっている。

 昨年、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)NSA元職員の告発によりこの盗聴問題が明るみになったことで、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は面目を潰し、メルケル首相は友人間ではスパイ行為は「してはいけないものだ」とコメント。以降、米独首脳は両国の関係回復に苦心してきたが、今回の捜査開始の動きで再び緊張が高まる可能性もある。

 検事総長は声明で「アンゲラ・メルケル首相の携帯電話を、米情報機関の身元不明の職員が盗聴した可能性についての疑いを正当化する具体的な事実はある」と述べている。また記者会見では、証人としてスノーデン元職員に接触するかどうかはまだ分からないと述べた。(c)AFP