【6月4日 AFP】中国・北京(Beijing)で1989年に起きた天安門事件で、国内各省から派遣された兵士らが、民主化を求めるデモ隊に対し笑いながら無差別に発砲していたことを示す米政府の文書が、事件からちょうど25年となる3日に機密解除された。

 米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)の国家安全保障公文書館(National Security Archive)が「情報自由法(Freedom of Information Act)」に基づき取得して公開したこれらの文書では、89年6月3日夜から4日未明にかけて中国当局が学生運動を武力弾圧する中、中国全土に広がっていった混乱の様子が示されている。

 米軍のある機密報告書は、ホテルの一室から天安門広場(Tiananmen Square)の様子を目撃した匿名の人物の話として、武力弾圧が多くの死者を出すことを意図した「残虐」なものだったと記している。

 第27集団軍(27th Army)に属する非北京語話者の兵士たちは「人々の集まりに遭遇すると、それが誰であろうとも笑いながら無差別に発砲していた」という。

 また、中国各地に広がる危機感を示す別の公電では、天安門での惨事を受け、現金を引き出そうとする人々が殺到したことから、当時国営だった中国銀行(Bank of China)の上海(Shanghai)支店に軍が空路で外貨を運んだと書かれている。

 しかし天安門事件の翌日の米公電に、中国と関係の深い外国政府当局者とみられる人物の話として、実際には1997年に死去した鄧小平(Deng Xiaoping)氏が既に死亡していたとする情報があるなど、今回公開された文書には大ざっぱなところがある。

 天安門事件では、兵士らが非武装の市民ら数百人を殺害。死者は1000人を超えるとの推計もある。(c)AFP