【6月3日 AFP】片方はアルコールで、もう片方はノンアルコール──一見すると正反対に位置しているようにも見えるワインと茶だが、その作法や原材料の栽培の面では、そうかけ離れた存在ではない。北京で開催中の企画展では双方の特徴と共通点が検証されている。

 陽気さとライフスタイルの象徴で何千年も前からたしなまれてきたワインと茶。異なる文化ではあるが、神話化され、崇められてきた点は同じだ。

「当初、薬だった茶は、仏教に救われた。古めかしいワインもキリスト教がなかったら失われていただろう」──そう語るのは、元中法大学の跡地にあるギャラリー「Yishu 8」で開催されている「Tea and Wine : a Shared Passion(お茶とワイン:共通の情熱)」展のキュレーター、ジャンポール・デロッシュ(Jean-Paul Desroches)氏だ。

 同氏は、中国の唐の時代に書かれた書物「茶酒論」から、今回の企画展のアイデアを得た。茶酒論は、王敷(Wang Fu)という人物によって1000年以上前に書かれ、20世紀初めに敦煌(Dunhuang)の洞窟で発見された写本。フランス国立図書館や大英図書館に収蔵されている。

 茶酒論は、茶と酒の間で交わされる会話を想像して書かれたもので、お互いの功や徳を自慢し合い、からかい合う。しかしそこに「水」が登場し、自らこそすべての生き物に不可欠な存在だと語り、両者をたしなめるといった内容だ。

「これは古代中国の酒と茶のコンテストだ」と、デロッシュ氏は語る。「酒は学者に支持され、陶酔の象徴だった。一方で茶は僧侶たちに支持され、平静の象徴だった。茶と酒は本当に同じような歴史をたどっている」

 お茶には、赤、緑、黄、黒、白とさまざまな色があるのと同様、ワインにも色がある。ワインの特徴がブドウ園ごとに違うのと同様、茶も茶畑によって様々だ。

 また、ボルドー(Bordeaux)の秀逸なビンテージワインに高値がつくのと同様に、古い茶葉も中国のオークションで高値で取引される。品質を保つために保存処理が施される点も同じだ。

 同展に展示されている北宋期に作られた陶磁器の枕には、「恐怖を払しょくするには酒が一番だ。しかし1杯のお茶は、雑念を払ってくれる」との言葉が刻まれている。(c)AFP/Sébastien BLANC