【6月3日 AFP】リビアの制憲議会で5月に行われた投票で首相に選出されたアフメド・ミティグ(Ahmed Miitig)氏(42)は2日、新政権が発足し、初の閣議を招集したと発表した。その一方で、今年4月に辞意を表明したアブドラ・シンニ(Abdullah Thinni)首相の内閣は退陣を拒否、東部では民兵らによる激しい戦闘が続いている状況だ。

 ミティグ氏は、2011年にムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐が政権を追われ殺害されて以来、リビアで5人目の首相となる。

 リビアの制憲議会は今年5月初め、混乱の中で投票を行い、イスラム系勢力が支援する実業家のミティグ氏を首相に選出した。投票は今年4月29日にも行われていたが、その際に武装グループが議場に侵入し、投票が中断する事態も起きていた。ミティグ氏を首相と認めることを拒否している政治家もいる。

 ミティグ首相の任期は6月25日に議会選挙が行われるまでの短期間。その後、制憲議会に代わる新議会が新政権を発足させる。

■東部では戦闘続く

 一方、東部ベンガジ(Benghazi)で2日、イスラム系勢力と元軍将校のハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)氏(71)率いる部隊とが交戦し、21人が死亡した。病院関係者によると死者のうち少なくとも11人が兵士で、ほかに112人が負傷した。

 2日の死者数は、ハフタル氏が「テロリスト」と決めつけたイスラム系勢力を追放する「威厳作戦」と銘打った攻勢を開始し76人が死亡した5月半ば以降では最悪となった。港湾都市のベンガジは、2011年にカダフィ政権に対する蜂起が始まった場所だ。

 ハフタル氏は、以前は米国で亡命生活を送っていたが、リビアに戻って部隊を率い、カダフィ政権打倒の蜂起に加わった。

 ハフタル氏は先週、民間テレビに出演して読み上げた声明のなかで、イスラム勢力をリビアから追放するまでは休むことはないと宣言。「この国が解放され、治安と安定が回復し、自由と民主主義が確立されるまで、一歩も後退しない」と語った。

 だが、リビア人の多くはハフタル氏がイスラム系勢力に打撃を与えられるのか懐疑的で、同氏の真の動機は何なのかいぶかっている。(c)AFP