【6月3日 AFP】米環境保護局(Environmental Protection AgencyEPA)は2日、発電所からの二酸化炭素排出量を30%削減することを目指す規制案を発表した。バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の気候変動対策の中でも最も野心的な行動計画といえる。

 EPAは、各州に独自の計画を策定する余地を残してはいるが、2030年までに2005年の排出量レベルから全米平均で3割削減できるだけの法的強制力のある規制策を盛り込むことを求めている。

 米国内で、気候変動をもたらす温室効果ガスの中で最もよく知られている二酸化炭素の40%近くを排出しているのが発電所だ。最もクリーンでないエネルギー源の一つとされる石炭の生産が同国の主要産業の一つである以上、その削減を目指せばデリケートな政治問題に直面するのは必至といえる。

 この発表は、気候変動を示す兆候が増えている中での動き。4月には国連(UN)の専門家パネルが、最悪のシナリオを回避するには、早急に排出量を削減する対策を講じる必要があると警告している。

 EPAによると、削減が実現すれば最大で6600人の早期死亡と、15万人の小児ぜんそくを防ぐことにもつながるという。EPAのジーナ・マッカーシー(Gina McCarthy)長官は、「これはホッキョクグマの絶滅や、氷冠の融解などだけの問題ではない。われわれの健康と家を守ること、地域経済や職を守ることに直結している」と述べた。(c)AFP/Shaun TANDON, Jerome Cartillier