【6月2日 AFP】米フロリダ(Florida)州にあるディズニーワールド(Disney World)を訪れたなら、その帰り道に地ビール醸造所の見学ツアーに参加してみるのはどうだろうか──。近年、降り注ぐ太陽とビーチが有名なフロリダでは、クラフトビールの評判が上がっており、国内その他の地ビールとも互角に張り合っているという。

 フロリダ州のビール醸造業者協会(Florida Brewers Guild)のマイク・ホーカー(Mike Halker)会長は、AFPに「年々、クラフトビール市場の規模は拡大しており、新しい醸造所がほぼ毎月オープンしているよ」と自慢げに話す。

 ジャーナリストで、「Florida Breweries」著者のジェラルド・ワレン(Gerard Walen)氏によると、フロリダには中小のビール醸造所が74か所あり、2014年中には100か所に達する見込みだという。ワレン氏は「クラフトビールの先駆けとなったオレゴン(Oregon)州やカリフォルニア(California)州、コロラド(Colorado)州などと比べると確かに後れを取っている。しかし、品質では対等に張り合っているよ」と話す。

 それでも「バドワイザー(Budweiser)」、「コロナ(Corona)」ブランドで知られるアンハイザー・ブッシュ・インベブ(Anheuser-Busch InBev)など多国籍企業が米国のビール市場を独占するなか、クラフトビールの売り上げはごくわずかにとどまっているのも事実。ホーカー会長によると、フロリダ州ではクラフトビールの売り上げはビール市場全体の約5%程度だという。

 ホーカー会長は、ビール醸造会社「デュー・サウス・ブリューイング(Due South Brewing)」の社長で、醸造の責任者でもある。同社は、ほんのりした甘みの「Honey Vanilla Wheat」やホップ、キャラメル、そしてバニラ風味の「Caramel Cream Ale」など、他とは少し違うビールを生産している。今年は6000バレル程度の生産を目指すと話すワレン氏は、今後もクラフトビールの市場への参入が続くと確信しているようだ。

 しかし、一方の大手ビールメーカーは、クラフトビールを楽しむ人口が増えていることに危機感を強めている。フロリダ州議会も最近、地ビールメーカーの小売り制限に関する法案を承認したばかりだ。そのため小規模な醸造所の多くは、廃業に追い込まれることを懸念している。

 フロリダをビールで表現するとしたら、マンゴーやパパイヤ、オレンジなど地元産のフルーツを材料に用いた「フロリダ・ヴァイセ(Florida Weisse)」だろう。昨年9月に営業を始めた醸造会社「ウィンウッド・ブリューイング(Wynwood Brewing)」のアレックス・グティエレス(Alex Gutierrez)氏は、フロリダ・ヴァイセのすっきりとした風味、優しい飲み口、低アルコールは、フロリダのビーチで気分転換をする際に飲むのに最適だと説明した。(c)AFP/Diego URDANETA