【5月30日 AFP】米メディアは29日、米マイクロソフト(Microsoft)の前最高経営責任者(CEO)であるスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏が、米プロバスケットボール(NBA)のロサンゼルス・クリッパーズ(Los Angeles Clippers)の買収準備を整えていると報じた。

 一方、クリッパーズの現オーナーであるドナルド・スターリング(Donald Sterling)氏の弁護士は、同オーナーがチームの売却に抵抗するとしている。

 米紙ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)と米スポーツ専門チャンネルESPNは、匿名の関係者から得た情報として、バルマー氏が投じた莫大な入札額が受理され、同氏は少なくともほかの2社を退けたと伝えた。

 スターリング氏に代わって妻のシェリー・スターリング(Shelly Sterling)さんがチーム売却に関する交渉を任されていたが、マックスウェル・ブリーチャー(Maxwell Blecher)弁護士は、米CNNに対し、オーナーの承認がなければ球団は売却できないと主張した。

 承認についてブリーチャー弁護士は、「NBAがスターリング氏の責任問題を追及する訴えについて何らかの対処を行わなければ」実現しないだろうとの見解を示し、「これまでのところ、リーグが動く兆候は何もない」としている。

 6月2日には、理事会による聴聞会が予定されているが、スターリング氏は29人のオーナーによる投票でオーナーの権利を剥奪されるかどうか裁定が下される前にリーグからの回答を望んでいる。

 ブリーチャー弁護士は、「リーグは2日に、スターリング氏をギロチンにかける」と述べ、「彼らは不法にスターリング氏からチームを差し押さえている。そして、その行為に対する法的訴訟を望まないのであれば、その前に、われわれに知らせる必要がある」と続けた。

 ブリーチャー弁護士は、スターリング氏に対するリーグの措置には何ら根拠はなく、同氏が制裁を受ける原因となった人種差別的発言はプライベートな会話であり、許可なく録音されたもので、カリフォルニア(California)州では犯罪であると主張した。

「カリフォルニア州の法律では、そのような録音は弾劾裁判を除き、いかなる目的であろうとも、いかなる訴訟においても使用できない」

 問題発言を録音したテープが、4月に芸能サイトTMZで公開されて大騒ぎとなると、ただちにNBAはリーグに損害を与えたとしてスターリング氏の責任を訴えた。

 20億ドル(約2030億円)に上るとされる買収額は、1981年に1200万ドルでチームを購入したスターリング氏にとって、莫大な財務利益をもたらすことになる。

 しかし、ブリーチャー弁護士は、リーグの要求に従って売却を急げば、売り手にとって重税が課されることになると述べている。(c)AFP