妊娠中の妻を親族に殺された夫、「最初の妻を絞殺」 パキスタン
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【5月30日 AFP】パキスタン東部で、妊娠中の女性が裁判所前で親族を含む集団に殴られるなどして死亡した事件で、殺された女性の夫が最初の妻を絞殺していたことが明らかになった。AFPの取材に応じた夫が29日、その事実を認めた。
ファルザナ・パルビーン(Farzana Parveen)さん(25)は27日、パンジャブ(Punjab)州にある同国第2の都市ラホール(Lahore)の高等裁判所の建物の外で警察官らが傍観する中、親族の希望に反する結婚をしたという理由で父親や兄弟を含む20人以上の集団に襲われ、れんがを投げ付けられるなどして殺害された。
ファルザナさんの夫のムハンマド・イクバル(Muhammad Iqbal)さん(45)が29日AFPの取材に応じ、最初の妻を絞殺したが、息子から許しが得られたために服役を免れたと語った。「私はファルザナを好きになり、彼女への愛のために最初の妻を殺した」と説明した。ムハンマドさんはその事実を認めた後に電話の電源を切っており、それ以降の電話には応答していない。
ファルザナさん殺害事件を捜査している警察幹部によると、警察はムハンマドさんの過去に関する詳細を記した報告書を政府に提出するとしている。この警察幹部の話では、「イクバルは評判の悪い人物で、最初の妻を6年前に殺した。逮捕されたが、家族との示談が成立し後に釈放された」という。
世界中から怒りの声を招いたファルザナさん殺害事件を受けて、ナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)首相は、弟のシャバズ・シャリフ(Shahbaz Sharif)同州首相に「高等裁判所の構内で警察がそばにいながら女性が残忍に殺害された」ことへの対応を命じた。
シャリフ首相は声明で、「州首相に対し直ちに対応し、今夜までに報告するよう指示した」と記されており、「この犯罪は決して容認できるものではなく、法にのっとった措置を速やかに講じなければならない」としている。
人権団体「パキスタン人権委員会(Human Rights Commission of Pakistan)」によると、パキスタンでは昨年いわゆる「名誉殺人」で869人の女性が死亡したという。パキスタンには、犯人が被害者の遺族に賠償金を払えば罪を許されるという「血の賠償金」が法制化されており、有罪判決が下される割合は極めて低い。(c)AFP/Waqar Hussain