【5月29日 AFP】北アフリカのモロッコと国境を接する地中海に面したスペイン海外領土メリリャ(Melilla)で28日未明、約500人のアフリカ人移民がモロッコ側から3重フェンスを乗り越えて不法入国した。メリリャでの不法入国の例としては、過去10年間で最大規模という。

 メリリャはアフリカ人の不法移民にとって唯一陸路での欧州への玄関口となっている港湾都市。モロッコとの国境には海岸沿いまで11キロメートルにわたってフェンスが設けられている。

 当局によれば、28日未明に少なくとも1000人がフェンスを乗り越えようと試み、約500人が不法入国に成功したとみられる。スペインの治安警察が公開したビデオ画像には、多数の若い男性が、一部倒壊した高さ7メートルの内側のフェンスを乗り越える様子が映っている。

 当局は国境フェンスを人が登れないタイプに変更する作業を急ぐ一方、警官100人を増員して不法入国の阻止に努める方針だという。

 モロッコ当局によれば、同日未明は5つのグループに分かれた約1500人が不法入国を試みたという。その際、移民たちは警告を聞き入れず投石するなどしたため、治安部隊員4人が負傷したという。

 メリリャには480人を収容できる移民センターがあるが、ここ数か月でアフリカ人移民が急増したことから、収容者数は約2000人に達している。3月18日にもおよそ1000人の移民が霧にまぎれてフェンスを乗り越えようとし、500人ばかりが不法入国に成功している。(c)AFP/Elodie CUZIN