【5月28日 AFP】ロシアは、グリニッジ標準時(GMT)26日午後10時9分(日本時間27日午前7時9分)、太平洋に浮かぶ海上発射台からの欧州の通信衛星打ち上げに成功した。2013年に行われた前回の打ち上げは、衛星が海に墜落して失敗に終わっていた。

 ロシアが95%の議決権を保有する国際共同事業体「シーローンチ(Sea Launch)」によると、海上発射台オデッセイ(Odyssey)から打ち上げられたゼニト(Zenit)3SLロケットは、打ち上げから約1時間後に軌道に到達したという。

 同国の宇宙計画を監督するドミトリー・ロゴジン(Dmitry Rogozin)副首相は「打ち上げは計画通りに進行した。(衛星の)制御の引き渡しはすでに完了した」とツイートした。

 スイス本拠のシーローンチは、遠洋に浮かぶオデッセイ発射台を使用して1999年から商業的な打ち上げを行ってきた。1995年に創設され、最近は厳しい財務問題に直面しているが、米航空宇宙機器大手のボーイング(Boeing)とノルウェーのアッカASA(Aker ASA)が5%の間接的な議決権を保有する。

 ロシアの宇宙ロケット企業エネルギア(Energia)は、シーローンチの海上発射台を使用して、2014年に4回、2015年に5回の打ち上げを予定している。

■度重なる失敗

 2013年2月1日に行われた前回の打ち上げは失敗に終わった。ウクライナおよびロシア製のパーツで構成されたゼニトロケットは海に墜落し、米国のインテルサット(Intelsat)衛星を軌道に乗せることはできなかった。

 欧州の航空・宇宙産業大手エアバス(Airbus)傘下のエアバス・ディフェンス アンド スペース(Airbus Defence and Space)が建造した通信衛星「ユーテルサット(Eutelsat)3B」の打ち上げは当初、4月16日に予定されていた。しかし技術的な問題が発生したために今回まで延期されていた。

 ロシアは近年、宇宙分野での失敗を重ねており、人工衛星など数多くの機器の損失を招いている。

 最近では今月中旬、欧州製の人工衛星を搭載してカザフスタンのバイコヌール宇宙基地(Baikonur Cosmodrome)から打ち上げられたロシアのプロトン(Proton)ロケットが、打ち上げから10分足らずで地上に墜落している。

 ロシア当局は2013年10月、高度に戦略的な宇宙部門の改革の一環として、当時のロシア宇宙庁(Russian Space Agency)長官だったウラジーミル・ポポフキン(Vladimir Popovkin)氏を解任し、オレグ・オスタペンコ(Oleg Ostapenko)氏を後任に任命した。(c)AFP