【5月27日 AFP】中国が石油掘削施設を設置したことでベトナムとの緊張が高まっている南シナ海(South China Sea)で26日、ベトナム漁船が中国漁船に体当たりされて沈没した。ベトナムの当局者が27日、明らかにした。

 匿名を条件にAFPの取材に応じた中部ダナン(Danang)市の海洋保安当局者は「漁船が衝突された。乗組員10人は既に陸に戻り無事だが、漁船は沈没した」と語った。

 今月上旬に南シナ海で中国とベトナム間の対立が発生して以来、船舶の沈没が報告されたのは初めて。

 中国の巨大な石油掘削施設近くの海域では、多くの民間船や漁船を含む両国の船舶間で小競り合いが続いており、衝突や放水砲の使用なども報告されている。

 沈没したベトナム漁船の乗組員は当局に対し、体当たりされた海域は石油掘削施設に近い西沙諸島(パラセル諸島、Paracel Islands)の沖合だったと話しているという。西沙諸島は中越の双方が領有権を主張している。

 今のところ、ベトナム政府からの公式声明は出ていないが、日本の菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は事実であれば「極めて危険な行為」との見解を示している。(c)AFP