【5月25日 AFP】3日間の日程で中東歴訪中のローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王は25日、パレスチナ自治区ベツレヘム(Bethlehem)に到着した。中東の平和を祈願するとともに、長年続いたキリスト教会内の対立解消を目指す今回の歴訪は、最も微妙で慎重を要する局面を迎えた。

 歴訪日程は24日のヨルダンから始まり、法王は長期化しているシリア内戦の終結を呼び掛けた。この後はイスラエルとパレスチナ自治区で「祈りの巡礼」を行うとされている。

 バチカン(ローマ法王庁)は法王のエルサレム訪問の主な理由について、東方正教会のコンスタンチノープル総主教バルトロメオス1世(Bartholomew I)と会い、「多数の苦難を経た、かの地の平和を祈るため」と説明した。

 ただ歴訪に先立ち、バチカンの国務長官であるピエトロ・パロリン(Pietro Parolin)枢機卿は、パレスチナ人が「主権を有し独立した」国家を樹立する権利を擁護する姿勢を示し、法王の歴訪が平和に向けた「勇気ある決断」につながることに期待を表明した。

 政治や宗教の対立が絶えない現地情勢を踏まえ、警備面の不安が指摘されていたが、群衆との交流を希望する法王はオープンカーで移動した。

 その際、法王はイスラエルが建設した高さ8メートルの分離壁の前で車を降りるという予定になかった行動をとった。心配そうな顔をしたパレスチナの警備兵に囲まれた法王は落書きされた壁に近づいて祈りをささげ、数分間そこにとどまった後、再びオープンカーに乗った。(c)AFP