【5月23日 AFP】ベテラン科学者らによって結成されたチームが、ディスコ時代に打ち上げられ、役目を終えて宇宙空間を寂しく漂っている探査機が地球に接近する際に、これを「救出」する決意を固めている。

 国際太陽地球間探査機(International Sun-Earth ExplorerISEE-3)は、太陽風の物理過程を研究するために1978年に建造された。

 ISEE-3は1981年に新たなミッションを受けて、彗星探査のために広い軌道に送り出されたが、現在は目的なく飛行しており、米航空宇宙局(NASA)はすでにこれを「運用終了」としている。

 だが一部の科学者らは、ISEE-3が再び地球に接近する際に、元の任務に復帰させたいと望んでいる。ISEE-3の最初の「ハイジャック」に関与した、現在80歳代のロバート・ファーカー(Robert Farquhar)氏もその1人だ。

 このたび結成されたのは、ファーカー氏の夢に触発された技術者たちによる、ISEE-3の「救出チーム」だ。メンバーの多くは同氏のように20世紀半ばの衛星に搭載された技術を熟知した高齢のエンジニアだ。

 だがこれほどの宇宙愛好家が揃うドリームチームにとっても、これは楽な任務ではない。ISEE-3再起動プロジェクトの共同リーダー、キース・カウイング(Keith Cowing)氏は「これはディスコ時代の宇宙探査機だ。性能は今のトースターにも劣る」と話す。

 カウイング氏は、AFPの取材に「当初のハードウェアやソフトウェアはもはや存在しない。探査機と通信するには、それらが必要なのだ」と述べ、「誰かのガレージに放置されていたような」膨大な量のファイルをあさらなければならなかったと説明した。

 カウイング氏によると「今回のチームには、もともとのプロジェクトに従事していた70代や80代の人々が数多くいる」とともに、20~30代の若手「おたく」たちもさらに大勢が参加しているという。