米下院が情報活動抑制法案を可決、「抜け穴」を危惧する声も
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【5月23日 AFP】米下院は22日、国民の通話記録の大規模収集を抑制する大きな改革法案を可決した。米国家安全保障局(National Security Agency、NSA)のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)元契約職員が昨年米政府による市民監視プログラムを暴露した後で初めて踏み出された、NSAの情報収集活動の規制に向けた第一歩となった。
バラク・オバマ(Barack Obama)政権はこの改革法案を支持しているが、専門家らが通話記録やその他の個人情報の収集規制の緩和につながりかねないと危惧する内容修正を政府が要求したことを受けて、市民権団体に加え、グーグル(Google)やマイクロソフト(Microsoft)といったテクノロジー企業は支持の撤回を表明した。
採決前にこのような問題が持ち上がったものの共和・民主両党の議員が支持に回り、法案は賛成303、反対121で可決された。法案を強く支持してきた民主党のジョン・コンヤーズ(John Conyers)議員は、過去数十年間で初めて「政府の情報収集活動の一部を規制する措置を講じた」と評価した。
一方で一部の議員らは、政府側が採択の直前になって法案の内容変更を求めたことに激しく反発。その修正により、どのような情報を誰から収集するかという点で解釈の拡大が可能になったとしている。マイク・ホンダ(Mike Honda)議員は、政府が法案の拘束力を「大幅に」弱めてしまったとして、これで大規模な情報収集が継続される可能性が残ったと強く非難した。
また、テクノロジー企業も政府によるこの修正に不快感を示している。アップル(Apple)やフェイスブック(Facebook)、グーグル、マイクロソフト、ヤフー(Yahoo)などが参加している「政府情報収集改革(Reform Government Surveillance)」連合は、文言の書き換えによって「悪い方へ向かってしまった」として、インターネット利用者の情報の大規模収集が可能になりかねない、容認し難い抜け穴が生まれてしまった」と批判している。
この法案は上院に送られるが、上院司法委員会のパトリック・レーヒー(Patrick Leahy)委員長は、来月にはより厳しい改革策を導入すると言明している。(c)AFP/Michael Mathes