【5月22日 AFP】スペインの首都マドリード(Madrid)にある有名なラス・ベンタス(Las Ventas)闘牛場で20日夜、この日出場した闘牛士3人全員が体重500キロ余りの牛に角で刺されたり、踏みつぶされたりして負傷する異例の事態が発生した。これを受け、スペインの闘牛シーズンの幕開けを飾ってきたサン・イシドロ(San Isidro)闘牛祭全体が、35年ぶりに興行中断に追い込まれた。

 マドリードの保守系の地元紙、ABCは1面に「ラス・ベンタスでの劇的な事件」と題した記事を掲載。ページの全面を使って、3人の中で最も深い傷を負ったダビド・モラ(David Mora)さんが巨体の牛に体を横から右の角で刺され、宙に浮いた写真を載せた。

 国内メディアは一斉に、世界で最も重要な闘牛場とされるラス・ベンタスでの流血の事態を大きく取り上げた。

 ラス・ベンタスが発表した声明によれば、「サン・イシドロ闘牛祭の68年の歴史上、マタドールが牛の角に突かれたことで興行を中断したのは、1979年に2度の例があるだけ」だという。

 ラス・ベンタスが公表した闘牛士らの診断書によると、モラさんは角で突かれたことで大腿部に幅30センチの深い切り傷を負ったほか、脇の下も刺された。

 モラさんを負傷させた牛は、2人目の闘牛士によって剣でとどめを刺されたが、この闘牛士もまた、自身の対決相手である次の牛に引きずられて膝を負傷。闘牛場内の病院で治療を受けた。

 この牛はさらに、最後に登場した闘牛士の右脚と腰を突き刺し、3か所に深さ約10センチの傷を負わせた。この3人目の闘牛士は牛に剣でとどめを刺した後、傷の手当てを受けた。(c)AFP/Elodie CUZIN