【5月23日 AFP】電子メールを暗号化し、政府当局が内容を盗み見るのを防止しようとする新たな動きが、勢いを増している。

 先週には「終端間暗号化」を約束する新たな電子メールサービスが立ち上げられ、他のサービスの開発も進んでいる。一方、米グーグル(Google)のGmail(Gメール)やヤフーメール(Yahoo Mail)などの大手サービスもセキュリティー対策を強化している。

 電子メール暗号化の大きなきっかけとなったのは、米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)元職員が持ち出した機密文書により、ネット上で行われる大規模な監視活動が暴露されたことだった。

「あれらの暴露で大勢の人が動揺した。それがこの取り組みとしてひとつにまとまった」と、16日に運用が始まった新サービス「プロトンメール(ProtonMail)」の共同開発者、ジェイソン・ストックマン(Jason Stockman)氏は語る。

 プロトンメールは米ハーバード大学(Harvard University)、米マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)、そして欧州合同原子核研究所(European Organisation for Nuclear ResearchCERN)の科学者らとの協力の下で開発された。

 プロトンメールは、セキュリティーを強化し、サーバーをスイスに置いて米法執行当局のアクセスを困難にしながらも、大手商用サービスと同程度にユーザーフレンドリーになることを目指している。

 暗号化技術は中国やイランのような国で反体制活動家が当局の目を免れるために使われる技術だが、NSAなどの情報機関による盗み見を阻止したい米国市民の間でも需要が高まっている。