「ルール」従わぬ中国に失望する米国、サイバー攻撃訴訟で露呈
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【5月21日 AFP】米国は中国に対し、自らが主導する国際秩序を受け入れることを長年期待してきたが、ここにきてサイバースパイ行為をめぐる中国との確執を深刻化させる方向を選択したことにより、思惑通りにいかないいら立ちと不満を露呈した。
バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領とその前任者たちは長年、米国は中国の隆盛を歓迎するが、中国には「ルールに基づいた秩序」に加わり、国際社会でもっと責任を負うことを求めるとの主張を繰り返してきた。
「その秩序を支えるために中国に期待した役割を、中国が果たしてこなかったことに対し、オバマ政権は過去6年間、いら立ちを募らせてきた」と米シンクタンク「外交問題評議会(Council on Foreign Relations)」のアダム・シーガル(Adam Segal)上級研究員は語る。「中国政府の態度は、そうしたルールを書いたのは自分たちではないし、必ずしも同意できるものではないので、そういうルールを守ることを期待しないでくれ、というものだ」
米国当局は19日、商業機密を盗む目的で米企業のコンピューターをハッキングしたとして中国人民解放軍の将校5人を起訴したと発表。デービッド・ヒックトン(David Hickton)連邦検事はこの際、本件は「ルールに従う」世界各地の「勤勉な男性や女性たち」によって立証されていると述べた。
中国側はこれに速やかに反発。駐中国米大使を呼んで抗議し、さらに元米政府職員のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者が明らかにした米国による中国国内での大規模な情報活動を引き合いに出し、偽善的だと非難した。
米国は自国の情報収集活動について、商業的利益のためではなく国家の安全保障を目的としていることから、「ルール」にのっとっていると主張している。