【5月20日 AFP】地中海式ダイエットの秘密は、もしかするとサラダにあるのかもしれない。オリーブオイルなどに含まれる不飽和脂肪を野菜と一緒に摂取すると、血圧を下げるタイプの脂肪酸ができることを発見したという英大の研究論文が19日、米学術誌「米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)」に発表された。

 硝酸塩や亜硝酸塩を多く含むホウレンソウ、セロリ、ニンジンを、体に良い脂肪を含むアボカドオイル、ナッツオイル、オリーブオイルと一緒に摂取することでニトロ脂肪酸が形成されるという。

 英国心臓財団(British Heart Foundation)の助成を受けた英ロンドン大学キングスカレッジ(King's College London)などのチームがマウスを用いて行った研究によると、このニトロ脂肪酸が血圧を調節するエポキシド加水分解酵素の働きを抑制し、血圧を下げる効果があることが分かったという。

 研究を主導した同大のフィリップ・イートン(Philip Eaton)教授(心臓血管生化学)は、「地中海式ダイエットでエキストラバージンオリーブオイルやナッツを摂取すると脳卒中、心不全、心臓発作といった心血管障害の発生頻度が減ることは、これまでの研究で分かっていたが、その理由を説明する上で今回の研究が役に立つ」と語った。

 野菜や魚類、穀物、赤ワイン、ナッツ、植物性オイルを用いた料理の地中海式ダイエットについては、科学者のほとんどが健康に有益だと認めてきたが、その仕組みについての一致した科学的説明はまだない。

 ヨーロッパの人々が高脂肪のチーズや肉類を食べる機会が多いにもかかわらず全体的に米国人よりも健康的なのは、赤ワインを飲む習慣があるためだとの見方もある。

 しかし前週発表された研究論文によると、イタリア人については赤ワインに含まれる抗酸化物質、レスベラトロールが、がん、心疾患の低下や長寿に貢献しているとの結果は得られていない。(c)AFP