【5月20日 AFP】ロシアは19日、ウクライナ国境付近の軍部隊に対し、基地に戻るよう撤収命令を出したと発表した。ウクライナでは、深刻な危機からの脱出を目指した大統領選を今月25日に控えている。

 大統領府は声明で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、ウクライナとの国境地帯に派遣されている軍部隊に対し、春季演習の終了後に撤収するよう命じたと発表した。

 事実であれば緊張緩和につながる動きだが、米国と北大西洋条約機構(NATO)のいずれも、ロシアがこのような発表を行うのはこれが3度目になるにもかかわらず、撤退の兆候はみられていないと指摘している。

 露大統領府はウクライナ政府に対し、同国東部の親露派に対する「報復作戦」とロシアがみなす行為を中止し、政府軍を撤退させるよう要請したことも明らかにした。

 ロシア国防省は、ワレリー・ゲラシモフ(Valery Gerasimov)参謀総長がNATOのクヌート・バーテルス(Knud Bartels)軍事委員会議長との電話会談で、ロシア国境付近でのNATOの活動に「強い懸念」を表明するとともに、「欧州の安全保障に寄与するものではない」と警告したと発表した。

 ウクライナ情勢の悪化を受けて、NATOは4月にポーランドとバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)に600人の兵士を派遣し、バルト海(Baltic Sea)と地中海(Mediterranean)東部に軍艦を配備している。(c)AFP/Michael MAINVILLE with Tanya WILLMER in Kiev