【5月19日 AFP】リビアの首都トリポリ(Tripoli)で18日、武装集団が制憲議会の建物を襲撃した。

 軍の代弁者を自称するモフタル・フェルナナ(Mokhtar Fernana)大佐は襲撃事件の後、制憲議会の機能停止を宣言。同大佐の声明を放送した民放テレビ局「リビア・インターナショナル(Libya International)」の事務所は、放送直後にロケット弾による攻撃を受けた。匿名を条件に取材に応じたジャーナリストによると、建物に被害が出たが、死傷者はいないという。

 リビア法相は、制憲議会があるトリポリ南部で「対立する民兵組織同士が衝突」し、2人が死亡、55人が負傷したと発表している。

 複数の目撃者たちは、議会を襲撃した武装集団は、2011年に当時の最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐と戦った元反政府勢力メンバーから成る「ジンタン(Zintan)旅団」の戦闘員だと話している。同旅団は過去にも議会を襲撃したことがある。

 議会の建物周辺では、空港につながる道路から同市に入った装甲車の車列が、議会に向かった後に激しい銃撃戦が発生。議員らは建物外に避難した。地元住民らによると、平服の武装集団が建物を襲撃したが、死傷者が出たとの情報はなく、同集団は後に自分たちの拠点へと撤収したという。空港周辺のトリポリ南部地域は、ジンタン旅団の掌握下にある。

 一方、首都から東に1000キロ離れた東部ベンガジ(Benghazi)ではこれに先立つ16日、元軍将校のハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)氏率いる非正規部隊がイスラム武装勢力に対する攻撃を開始。79人が死亡したと伝えられている。

 リビア政府はハフタル氏がクーデターを企てていると主張しており、制憲議会のヌーリ・アブサハミーン(Nuri Abu Sahmein)議長は同氏がベンガジで開始した作戦について「違法な行為であり、クーデターだ」と非難。18日に起きた議会襲撃も同氏が背後にいるとの臆測を示した。ただ、リビア法相は、アフタル氏が開始した作戦と議会襲撃には「実質的なつながりはない」としている。

 また、ベンガジのベニナ(Benina)空軍基地司令官によると、イスラム武装勢力が18日に同基地を襲撃したが、負傷者は出なかったという。(c)AFP