【5月19日 AFP】2014年サッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の開幕戦を6月12日に行う予定ながら、いまだに完成していないサンパウロ(Sao Paulo)のアレーナ・デ・サンパウロ(Arena de Sao Paulo)で18日、初の公式戦が行われた。

 死亡事故などで工事に遅れが出ている同スタジアムは、心もとない一歩目を踏み出した。

 W杯開幕まであと25日という中、現在も建設中で収容人数を抑えての開催となったアレーナ・デ・サンパウロで、ホームのコリンチャンス(Corinthians)は0-1で下位のフィゲイレンセ(Figueirense FC)に敗れた。屋根が完成していないために雨に打たれて濡れたサポーターは、覆われた場所を求めて席を移動した。

 この試合に向けて4万枚のチケットが売りに出されたが、観客数は約3万6000人だった。しかしながら、W杯本大会では6万8000人の観客が見込まれている。

 AFPのカメラマンによると、試合中から試合後にかけては携帯電話の3G回線がパンク状態で使用不能となった。しかしながら、スタジアム内のWi-Fiは作動していた。

 スタジアムと会場周辺はことさら建設現場のような状況で、クレーンや足場が散見され、VIP専用のエリアも未完成となっている。さらに、スタジム内のエレベーターが4台中2台しか稼働していない場所もあり、そちら側の入場口には長蛇の列が作られた。

 また、試合後の観客が車を探すのに十分な明かりがなく、携帯電話を懐中電灯の様に照らしていた。

 さらに、スタジアム周辺のセキュリティーエリアは国際サッカー連盟(Federation Internationale de Football AssociationFIFA)が求めるものより狭く、さらにFIFAから要望されている金属探知機も導入されていない。

 日刊紙グロボ(Globo)によると、一部ガラス屋根の設置などは開会式とブラジル対クロアチアの開幕戦までに間に合わないという。スタジアム中央部、ピッチサイド近くのスタジアムでも最高の席に座るファンは、傘を持参した方が良いだろう。

 度重なる遅延の中、約5か月遅れて21日にスタジアムはFIFAに引き渡されることになっている。(c)AFP/Rosa SULLEIRO