【5月17日 AFP】米国ではポルノグラフィーがまん延しており、深刻な公衆衛生上の危機として対処すべき状況にあると、専門家たちが警告している。

 性的搾取の根絶を目指している団体「Coalition to End Sexual Exploitation」が、首都ワシントン(Washington D.C.)近郊のタイソンズコーナー(Tysons Corner)で16日から2日間の日程で行う今年の総会は、ポルノは公衆衛生の観点から取り組むべき複雑な社会問題だという認識を広めることに焦点を当てている。

 総会に先立って専門家らは、ポルノの問題にも飲酒運転や未成年者の喫煙と同様の対策を講じるべきだと訴えた。

■「健康的な本物の性を若者から奪う」

 社会学と女性学を専門とするボストン(Boston)のウィーロック・カレッジ(Wheelock College)のゲイル・ダインズ(Gail Dines)教授は、ポルノ対策を「大きな政治力を要する問題」と捉えている。

 ダインズ教授によると、ポルノサイトの月間閲覧総数は、動画サービス大手ネットフリックス(Netflix)、インターネット小売大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)、マイクロブログのツイッター(Twitter)の合計閲覧数を上回っている。さらにインターネットからの全ダウンロードの3分の1がポルノを含んでおり、ポルノ関係のウェブサイトは約430万も存在しているという。

 同教授は「ポルノは間違いなく今日の性教育の中で最も強い影響力を持つ形態で、調査によれば人生で最初にポルノを見る平均年齢は11~14歳だという。しかもそれは父親が買ってきた(米男性誌の)プレイボーイ(Playboy)の類いなどではない」として、「基本的人権であるはずの、健康的な本物の性というものを若者から奪っている」と指摘する。