豊富な水資源が汚染をもたらす矛盾 カナダ
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【5月21日 AFP】大量の水資源があるカナダでは、汚染されていない水を事実上無料で使えるのが当たり前だと思われている。だがその豊富さが、過剰消費や無駄、そして時に水質の悪化をもたらしている。
「外国から来る人、特にヨーロッパの人は、カナダの自治体のほとんどに水道メーターが無いことに驚く」と、ケベック(Quebec)にあるラバル大学(Laval University)の水専門家、マニュエル・ロドリゲス(Manuel Rodriguez)氏は語る。世界の淡水の7%はカナダの水系にある。
実はカナダの水道水は無料ではなく、自治体の予算のわずかな部分が水処理や上下水道の維持に使われている。だがその金額はとても少ないので、カナダ人のほとんどは水が無料であると考え、節水しようとは考えない。
「自分をだますことは無理だ。水は大量にあって、飲料水を生産する費用もあまり高くない」と、ケベック先端科学技術大学院大学(INRS University)のパトリック・ドロギ(Patrick Drogui)教授は語った。
■忍び寄る水質汚染
一方で、カナダの水は諸外国と同様に畜産業などにより汚染されている。ケベック州を含めカナダ各地の河川の「水質は疑わしいものがある」とロドリゲス氏は述べる。
もちろん自治体が水の処理を行っている。だが、環境ホルモンや残留医薬品などの新たな汚染物質が登場し、水から除去するための新たな基準や処置が必要になっていることから、今後は水処理のコストも上がる可能性が高い。
人体に「極めて有害」なこれらの汚染物質はすでに水の中から微量が検出されており、一部の魚の「女性化」や人への実害の恐れが出始めていると、ドロギ氏は語った。