■中国の策略通りか、次は防空識別圏?

 社会主義国のベトナムの対中政策は、同じく中国と領土問題を抱えるフィリピンと比べ、融和的だとみられてきた。これについて、米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の東南アジア研究部門主任、アーニー・バウアー(Ernie Bower)氏は、「ベトナムは中国の手法を学んで、餌に食いつかないよう相当な努力をしてきた」と説明する。

 だが今回の暴動の発生で、中国に持論を譲らない論理的根拠を与えてしまったベトナムは「中国の策略にまんまとはまってしまった」とバウアー氏。事実、訪米中の中国人民解放軍の房峰輝(Fang Fenghui)総参謀長は15日、ワシントンD.C.(Washington D.C.)で石油掘削を継続する考えを表明した。

 バウアー氏によれば、中国が南シナ海で活動を活発化させているのは、昨年就任した習近平(Xi Jinping)国家主席による中国の発言力を強化する戦略の一環である可能性が高いという。

 バウアー氏は、石油掘削装置の設置や船舶の衝突に続き、中国が次の手として南シナ海(South China Sea)に防空識別圏を設定したとしても驚かないと指摘。「習近平氏の真の姿が見えてきた」「今回の事態は、より大きな計画の一部であり、我々はこの先も挑発行為を見ることになるだろう」と語った。(c)AFP/Shaun TANDON