【5月16日 AFP】ナイジェリアの少女集団拉致事件で、同国大統領が過激派との人質交換に応じない意向を示したことを受けて、拉致被害者200人以上の親族らは15日、改めて少女らの無条件解放を求めた。

 犯行声明を出しているイスラム過激派「ボコ・ハラム(Boko Haram)」の指導者であるアブバカル・シェカウ(Abubakar Shekau)容疑者は、政府が拘束している戦闘員を釈放するなら、拉致した少女を解放する用意があると示唆していた。これに対しグッドラック・ジョナサン(Goodluck Jonathan)大統領は、断固として「交換を条件とする交渉は行わない」態度を崩していない。

 めいが拉致されているという男性はAFPの電話取材に対し、先月14日に事件が発生した町に暮らす少女らの親をはじめとする家族は大きな痛手を負っているとして、「私に言わせれば、交渉などせずとも少女らを解放してほしい。ボコ・ハラムが政府に要求したいことがあるなら、それは別にやらせればいい」と語り、無条件解放を要求した。この事件ではまだ223人の女子生徒の行方が分かっていない。

 ボコ・ハラムは、拉致した少女らを奴隷として売るとしており、これについては世界中から怒りの声が上がるとともに、国際社会はナイジェリアがこの危機を乗り越えられるよう支援を申し出ている。

 国連(UN)のサイード・ジニット(Said Djinnit)西アフリカ特使はジョナサン大統領と会談し、拉致少女らの解放に向けてナイジェリア当局を最大限支援する意向を示すとともに、心理カウンセリングといった解放後のケアを提供する用意もあると伝えた。

■大統領、16日に現地視察の後パリへ

 ナイジェリア政府高官はAFPに対し、ジョナサン大統領が16日に、事件が発生した北東部ボルノ(Borno)州チボク(Chibok)地区を視察すると明かした。大統領は同日、ボコ・ハラムをめぐる問題を協議する会合に出席するため空路仏パリ(Paris)へ向かう予定で、その前に現地入りするという。ジョナサン政権に対しては、今回の事件への対応の遅さを批判する声が集まっている。(c)AFP/Ola AWONIYI