【5月16日 AFP】米カリフォルニア(California)州セントラルバレー(Central Valley)で行われている農地灌水用の地下水のくみ上げが、この一帯を走る断層の地震リスクを増大させているとの研究結果が、14日の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 米ワシントン(Washington)州にある西ワシントン大学(Western Washington University)のコリン・エイモス(Colin Amos)氏率いる地質学者の研究チームによると、150年にわたって水をくみ上げ続けたことから、一部地殻の重量が少しずつ減少し、サンアンドレアス(San Andreas)断層による地震の危険性が増大しているという。

 セントラルバレー南部にあるサンホアキンバレー(San Joaquin Valley)は世界でも有数の穀倉地帯で、さまざまな種類の作物を大量に供給しているが、降雨量が非常に少ないため、汲み上げられた地下水が雨によって補充されにくい。

 研究者チームの試算によると、この地帯で農業のために汲み上げられた地下水の量は、1860年以降160立方キロメートル前後に上るという。

 その結果、サンホアキンバレーを取り囲む地殻は、毎年およそ1~3ミリ隆起していることが全地球測位システム(GPS)によって観測された。

 さらに地下の多孔質岩が水分を失うことで沈下するサンホアキンバレーと、毎夏季後半に地下水の水位が最も低下する際に隆起する周辺地盤とで、断層への圧力がより一層緩むことになると研究チームは考えている。

 その証拠に、同州パークフィールド(Parkfield)に設置されている観測施設は、夏の後半から秋にかけて発生している小規模な地震を捉えているという。

 エイモス氏は、今回の研究が地震のリスク予想のあり方に再考を迫る結果となったと述べている。(c)AFP