シリア政権が化学兵器14回使用、昨年10月以降 仏外相
このニュースをシェア
【5月14日 AFP】フランスのローラン・ファビウス(Laurent Fabius)外相は13日、シリア政権が塩素ガスなどの化学兵器を昨年10月以降に14回使用したと確信していると語った。
米ワシントンD.C.(Washington D.C.)を訪問中のファビウス外相は「(シリア政権が)2013年10月以降に少なくとも14回の化学兵器を使用したことを示す信頼に足る証人がいる」と述べた。
シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権は備蓄した化学兵器の92%を廃棄のために引き渡している。だが、「一定数の化学兵器が隠されていたことを確信するに足る情報をわれわれは多数持っている」とファビウス外相は語った。
ファビウス外相は、14回の化学兵器使用の報告から「過去数週間のうちに、塩素を中心とした新しい少量の化学兵器が使用された」ことが判明していると述べ、フランス当局が現在、証拠を分析していると付け加えた。
またファビウス外相は、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領がシリア政府によるサリンガス使用への懲罰としてシリアを空爆することを中止したことについて、実施すればシリアの情勢を変えることができたかもしれないと遺憾の意を表明した。
昨年8月、アサド大統領は首都ダマスカス(Damascus)近郊でサリン攻撃を実行し、数百人が死亡した。これを受けてオバマ大統領はシリアの空爆も辞さない姿勢を示していたが、米国は最終的に軍事行動を回避した。
一方、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch、HRW)も13日、アサド政権が4月半ばに3都市で塩素ガスを使用し、化学兵器禁止条約(Chemical Weapons Convention、CWC)に違反したことを示す証拠を入手したと発表した。
シリアの化学兵器の廃棄作業を監視する化学兵器禁止機関(Organisation for the Prohibition of Chemical Weapons、OPCW)はすでに、この疑惑を調査するためにシリアに調査団を派遣している。
問題は、塩素の兵器利用は国際条約により禁止されているものの、塩素には多くの合法的な利用方法があることだ。また、ガスとして使用した場合に揮発性が高いため、調査団は目撃証言に頼るざるを得なくなる。(c)AFP