【5月20日 AFP】今世紀中に、水の利用に不便する「水ストレス」に数十億人が直面し、水が紛争の隠れた要因になる恐れがあると、水文学者らが警告している。

 水文学者らによると、現在の傾向から水は2重の危機に直面している。人口爆発による食料とエネルギー需要の増加と、気候変動の影響だ。

 国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」は3月に発表した報告書で「すでに世界人口の約80%が、水の利用性や水の需要、汚染などの指標で測定された水の安全保障に対して、深刻な脅威にさらされている」と述べた。

「気候変動は水の利用性を変える可能性もあり、それゆえに水の安全保障を脅かしている」

 すでに現在、安全で確実な水資源を利用できない人は約7億6800万人に上り、適切な衛生設備を利用できない人は25億人に上っている。また世界全体の「帯水層(地下水で飽和した地層)」の5分の1は枯渇しているという。

 国連の最新の「世界水発展報告書(World Water Development ReportWWDR)」によると、世界の人口が現在の72億人から96億人に増加する今世紀半ばには、世界の水需要は55%も増加する可能性が高い。

 また「深刻」な水ストレスの地域に暮らす人々は、アフリカ北部から中東、南アジア西部にまたがる地域を中心に世界人口の40%以上に達する見通しだという。

 しかもこのシナリオは、気候変動による降雨や降雪の変化、氷河の融解による影響が加味されていない。