【5月13日 AFP】飲酒により世界中で年間330万人が死亡しており、その数は後天性免疫不全症候群(AIDS、エイズ)や結核、暴力による死者を上回っていると、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)が12日発表した。WHOは、アルコール消費量が増加傾向にあると警告している。

 これによると、酒気帯び運転や飲酒に起因する暴力・虐待に加え、多数の病気・障害を含めれば、世界の年間死者のうち20人に1人がアルコールが原因で死亡しているという。

 WHOのメンタルヘルス・物質乱用部門を率いるシェカール・サクセナ(Shekhar Saxena)氏は、「これは言い換えれば、(アルコールにより)10秒に1人が亡くなっている計算になる」と指摘している。

 WHOの報告によると、飲酒が原因の死者は2012年に約330万人に上り、これは世界全体の死者の5.9%(男性では7.6%、女性で4%)に相当するという。ちなみにエイズによる死者は2.8%、結核は1.7%、暴力は0.9%となっている。

 さらに飲酒は、肝硬変やがんといった健康被害200種類以上にも関係している。また過度の飲酒により、結核や、エイズを引き起こすヒト免疫不全ウイルス(HIV)、肺炎といった感染症にもかかりやすくなるという。

 アルコールに起因する死者の直接的な死因で最も多かったのは、心疾患と糖尿病で、全体の約3分の1を占めた。また車での衝突などアルコール関連の事故は2番目に多く、死因の17.1%を占めていた。(c)AFP