【5月13日 AFP】マウス実験で乳がんを引き起こすことが示された日常的な化学物質17種について、人間でも同様の危険性があると警告する論文が、12日の米医学誌エンバイロメンタル・ヘルス・パースペクティブス(Environmental Health Perspectives、電子版)に掲載された。

 論文は、これら化学物質との接触を避けるよう女性たちに警告し、接触を最低限に抑える方法について助言している。乳がんを発症させると指摘されている化学物質は、ガソリン車やディーゼル車からの排ガスや難燃剤、汚れ防止処理が施されている繊維、飲料水内の消毒副生成物などに含まれている。

 環境内に存在する乳がんの発がん物質で、最も影響の大きいものはベンゼンとブタジエン。これらは自動車や芝刈り機の排ガスや、たばこの煙、焦げた食品などに含まれている。また、塩化メチレンのような塩素系溶剤や、ホルモン補充療法で使用される薬品、発泡スチロールの材料でたばこの煙にも含まれるスチレンなども危険性が懸念される。

 論文では、こうした化学物質を避ける7つの方法を挙げている。

・車や発電機の排出ガスとの接触を制限する。停車中にエンジンをかけっぱなしにすること(アイドリング)を止める。芝刈り機などの管理機は電動のものを使う。

・調理中は換気扇を回し、焦げたものを食べないようにする。

・ポリウレタンフォームを使った家具を買わない。難燃剤が施されていない家具を選ぶ。

・汚れ防止処理が施されている敷物や家具、繊維を避ける。

・ドライクリーニングを利用する場合には、パークロロエチレン(PERC)などの溶剤を使わないサービスを探す。「ウェットクリーニング」を指定する。

・飲料水の濾過(ろか)には、炭素ブロック(炭素片)フィルターを使う。

・屋内に化学物質を持ち込まないようにするため、靴は玄関で脱ぎ、掃除機は高性能フィルター(HEPA)の付いたものを使う。水拭きをする。

 研究は、エイボン財団(Avon Foundation)の資金提供を受け、米国の「沈黙の春研究所(Silent Spring Institute)」が行った。環境と女性の健康の関連について調査している同研究所の名称は、1964年に自ら乳がんで亡くなった生物学者レイチェル・カーソン(Rachel Carson)氏が環境問題に警鐘を鳴らした著書『沈黙の春(The Silent Spring)』にちなんでいる。(c)AFP/Kerry SHERIDAN