【5月11日 AFP】カナダは、米国の弾道ミサイル防衛構想への参加を再検討している。カナダ政府高官が8日明らかにした。

 首都オタワ(Ottawa)で開かれた防衛関連の会議でジェームズ・ベザン(James Bezan)国防政務官は、この問題が再び上下両院の委員会で取り上げられたと述べ、政府としてはまだ何の決定もしておらず、議会の委員会の報告を待っている状態だと説明した。

 ベザン氏は、「ならず者国家」が開発中のミサイルの精度に懸念があり、米国に向けて発射されたものがカナダに落下する恐れがある上、構想に参加していなければミサイル発射後の対応中にカナダ当局が意思決定から「脇に追いやられる」恐れもあると指摘した。

 構想参加に必要と考えられる政治的合意が得られるかは不透明だ。政治的合意が得られなかったり、この問題が政治問題化したりすれば、現在の状態が続くだろうとベザン氏は予想している。

 カナダの米ミサイル防衛構想参加には強い反対もある。野党・新民主党(New Democratic Party)議員で、影の内閣の国防相も務めるジャック・ハリス(Jack Harris)氏は、「現時点で必要性は見えていない。現時点で、われわれが立場を変えるだけの脅威があるとは十分に説明されていない」と述べた。

 カナダは2005年、新たな国際的軍拡競争を招き、世界の平和と安全を損ないかねないと多くの国民が懸念する中、当時の政権が米ミサイル防衛構想への参加を断念した経緯がある。(c)AFP