【5月10日 AFP】向こう見ずな娘とけんかをしたり、隣家で深夜まで続くパーティーに全身が震えるほど腹を立てたりする前に、一度考え直してみてほしい──。

 デンマークで行われた研究で、日常的に親戚や友人、隣人らと言い争いをしている人はそうでない人に比べ、中年期のうちに死亡する確率が2倍高いことが分かった。また、この傾向は特に失業中の男性に顕著にみられることも確認された。

 コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)のリッケ・ルンド(Rikke Lund)氏率いる研究チームは2000年から、約11年間にわたって1万人近いデンマーク人(開始時の年齢は36~52歳)を対象に追跡調査を実施。今月8日付の英専門誌「Journal of Epidemiology and Community Health(疫学と地域保健ジャーナル)」で、結果をまとめた論文を発表した。

 論文によると、調査終了時までに死亡した参加者は女性の4%、男性の6%で、死亡した人たちと「論争」の間には明確な関連性があった。

 自らが属する社会的集団のうちの誰か、パートナーや親戚、友人や隣人と頻繁に言い争いをすると回答した人は、しないと答えた人と比べ、調査機関中に死亡していた割合が2~3倍高かったのだ。ただし、今回の調査ではうつ病など結果を歪曲させ得る要素は考慮したものの、性格的な特徴については勘案していないという。

 この他に今回の調査で明らかになったのは、「論争」ほど明確に示される傾向ではないものの、パートナーや子どもたちに関する心配事や、こうした人たちに対する要望が死亡と関連していることだった。

 論文は、「身近な人に関する心配事やこうした人たちへの要望にうまく対応する能力、家族や地域社会の間で起こるもめ事を解決する能力を向上させることは、早世の可能性を低減させる上での重要な戦略かもしれない」として、人間関係のストレスにうまく対処する方法を学ぶことが、命を救う可能性があると結論付けている。

 強い友情やパートナーとの安定した関係が健康に有効であることは過去の調査で確認されていたが、健康への悪影響についての調査は、これまでほとんど実施されていない。(c)AFP