サウジアラビア、MERSによる死者126人に
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【5月9日 AFP】サウジアラビア保健省は9日、中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome、MERS)による死者が国内で新たに5人確認され、同国でMERSが初めて確認された2012年以降の死者数が126人になったと発表した。
7日に西部メディナ(Medina)で47歳と60歳の男性が死亡したほか、メッカ(Mecca)で84歳の男性が死亡、また紅海(Red Sea)の港湾都市ジッダ(Jeddah)でも死者が出た。これら3都市はイスラム教の大巡礼「ハッジ(Hajj)」と関係の深い都市で、特にジッダは国外の巡礼者の入国場所になっている。また首都リヤド(Riyadh)では女性が1人死亡した。
サウジアラビア保健省によると、周辺の湾岸諸国のMERSによる死者数は463人となった。
MERSの感染者はアラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン、エジプト、レバノン、さらには米国でも確認されている。感染者の多くはサウジアラビアに旅行したか、あるいはサウジアラビアに医療従事者などとして滞在していた経験がある。
MERSは、2003年にアジアを中心に流行し8273人が感染したSARS(Severe Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)の近縁種で、SARSよりも感染力は低いが致死率が高い。MERSのワクチンや抗ウイルス薬はまだ開発されておらず、死亡率は40%以上だ。
MERSはSARSと同様に肺感染症を起こすとみられ、高熱やせき、呼吸困難などの症状が出る。だが、SARSとは異なりMERS感染では急速な腎不全が併発する。
研究者らは、MERSの感染源はラクダの可能性が高いとみている。(c)AFP