フランスの対ロシア軍艦輸出に米国が懸念、クリミア配備の見込み
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【5月9日 AFP】米高官は8日、フランスが年内に予定しているロシアへの揚陸艦の売却に関する懸念を表明した。米国はウクライナ危機をめぐり、対ロシア制裁の強化を検討している。
国務省のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)国務次官補(欧州・ユーラシア担当)は、ローラン・ファビウス(Laurent Fabius)仏外相が来週訪米するのを前に、米下院の外交委員会で「ロシアの最近の動向を目にする前から、われわれは一貫してこの売却計画に懸念を表明してきた。今後も同様に、懸念を示していく」と述べた。
米議員らも、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領のウクライナへの「武力侵略」に対する国際社会の怒りを明確に示す行動になるとして、フランスに対し、売却の中止を強く呼び掛けた。
フランスは2011年、最新のミストラル(Mistral)級強襲揚陸艦2隻をロシアに売却する12億ドル(約1200億円)相当の契約を締結。1隻目の「ウラジオストク(Vladivostok)」は今年10月の納入を予定している。
2隻目の「セバストポリ(Sevastopol)」は来年納入の予定で、ロシアが3月に併合したクリミア(Crimea)半島に配備されている黒海艦隊(Black Sea Fleet)に編入されるとみられている。
米国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国の間からは、この契約に反発する声が上がっており、フランスへの圧力が高まっている。しかし、フランス政府はこれまでのところ、取引の中止を拒否している。(c)AFP/Nicolas REVISE