【5月9日 AFP】ロシアは8日、ウクライナに対し、数十億ドル規模の債務の支払い期限を守らなかったことを理由に、天然ガス供給を前払い制に切り替えると発表した。これにより、ロシアからウクライナ経由で天然ガスの供給を受けている欧州も、エネルギー不足に直面する恐れが出てきた。

 この強く懸念されてきた措置が現実のものになったことで、欧州連合(EU)の広い範囲への天然ガス供給に悪影響が出る可能性もある。EU加盟各国が消費するロシアからの天然ガスの15%近くが、ウクライナ経由で輸送されているからだ。

 今年2月、ウクライナの親露政権が崩壊したことを受け、ロシアがウクライナに輸出する天然ガス価格を約2倍に引き上げる決定を通達して以来、ウクライナ側はその対抗措置としてこれまで滞納してきた代金を期限までに支払うことを拒否する構えを見せていた。

 ロシアのエネルギー省は、ウクライナに要求していた35億ドル(約3560億円)が、期限だった7日までに支払われなかったとして、6月1日以降は天然ガスを前払い分のみ供給すると発表した。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)ロシア大統領は先月、EU加盟諸国のうち18か国に対して書簡を送り、ウクライナがロシアの国営天然ガス大手、ガスプロム(Gazprom)に対して滞納している代金の支払いを支援しない限り、ウクライナへの天然ガス供給を前払い制に切り替えざるを得ないと警告していた。

 ウクライナは今週、国際通貨基金(International Monetary FundIMF)が承認した融資のうち最初の31億9000万ドル(約3240億円)を受け取っており、ウクライナ暫定政府のユーリー・プロダン(Yuriy Prodan)エネルギー相は、それをロシアへの天然ガス代金に充当する可能性もあると示唆していた。

 しかしプロダン氏は、天然ガス1000立方メートル当たりの料金としてロシア側が新たに設定した485.50ドル(約4万9000円)ではなく、以前の268.50ドル(約2万7000円)を適用すると強調している。(c)AFP/Dmitry ZAKS