シリア反体制派、ホムスから撤退開始
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【5月8日 AFP】シリア中部ホムス(Homs)で7日、反体制派が掌握地域を政府の支配下に明け渡すという前例のない合意に基づく撤退が始まった。
かつて「革命の首都」と呼ばれたホムスでは、政府による2年近い包囲が続き、反体制派の支配下にあるホムス旧市街とその周辺地域は砲撃によってがれきと化していた。
負傷者を含む民間人や反体制派戦闘員は7日午前10時(日本時間同日午後4時)ごろ、バス3台に乗り込み北方の反体制派掌握地域に向かった。反体制派の活動家たちが投稿した動画には、警官隊が凝視する中、バックパックと軽火器を担いだ戦闘員たちがバスに乗り込み、国連(UN)の白い自動車が伴走する様子が写されている。
シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、旧市街にいたとされる約1200人のうちのおよそ600人が日没までに撤退した。ホムス県のタラル・バラジ(Talal al-Barazi)知事はAFPの取材に対し、撤退は8日にかけて続くと語った。
国営テレビによると、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領が「国がすべての地域での国民和解を支持しているのは、流血を止めたいと望んでいるからだ」と述べた。
一方の反体制戦闘員と活動家たちの方は強硬姿勢を崩していない。活動家のアブ・ビラル(Abu Bilal)氏旧市街を出る準備をしながら「われわれは生きている限り戦い続ける」とAFPに語った。
複数の情報筋によると、今回の合意内容には、北部アレッポ(Aleppo)県と地中海沿いのラタキア(Latakia)県で反体制派によって拘束されている数十人の民間人と戦闘員の解放や、約4万5000人が反体制派の包囲下に置かれているアレッポ県のヌボル(Nubol)とザワラ(Zahraa)の町への支援物資の搬入が含まれる。
一方、ホムスの反体制派は20キロ離れた反体制派が掌握する町ダール・ケビラ(Dar al-Kebira)に移送される。 (c)AFP/Rim HADDAD