【5月7日 AFP】ロシア政府のメディア監視機関は6日、映画や演劇、マスメディアにおけるののしりやわいせつな言葉の使用を幅広く禁止する新法が成立したことを受け、こうした「不敬な言葉」の取り締まりを強化すると発表した。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が5日に署名し成立した新法は、今年7月1日に発効する。違反者には最高5万ルーブル(約14万円)の罰金が科されるほか、不敬な言葉を含む映画は公開が認められなくなる。

 メディア監視機関は6日、「わいせつな言葉の使用を禁じた新法の規範と要求の順守に向けた監視を強化する」、「違反行為の根絶を最優先事項とする」との方針を示した。

 新法の導入は独立メディアや人気のブロガーたちを対象とした、より幅広い取り締まりの一環。政府は、こうした取り締まりにより政治的討論の制限を狙っているとみられる。

 新法の成立を受け、著名脚本家などの芸術関係者らは「道徳家を気取った法律だ」「ロシア人の生活はますます偽善的で上品ぶったものになってきている」などとして激しく反発。著作権で保護されている文章が強制的に書き換えられてしまうことを懸念する声も上がっている。

 ロシアの主要メディアでは、不敬な言葉は衝撃的なものとして受け止められており、使用されることはまれ。しかし、オンラインメディアのコメンテーターなどはしばしば人をののしる表現を用いるため、これが禁止の対象になる可能性もある。

 ロシア語には不敬にあたる言葉が数多くあり、その多くは刑務所や犯罪関連の隠語に由来している。プーチン大統領自身もこれまでに、有名な「便所で(過激派を)一掃する」との発言など、乱暴でがさつな言葉を使ってきている。(c)AFP