【5月6日 AFP】南極を繁殖地とするアデリーペンギンから新種の鳥インフルエンザウイルスが検出されたとする報告が6日、米国微生物学会(American Society for Microbiology)のオンラインジャーナル「mBio」に発表された。ただし、アデリーペンギンたちはウイルス感染による症状は示していないという。

 新たに検出されたウイルスはこれまでに知られている鳥インフルエンザウイルスとは異なるものだという。論文の著者である世界保健機関(WHO)のアーロン・ハート(Aeron Hurt)上級科学研究員は「鳥インフルエンザウイルスは南極まで到達し、ペンギンの個体群の間で維持されていることを示す発見だ」と述べた。

 これまでペンギンの血液にインフルエンザの抗体が存在する証拠は確認されているが、ペンギンの体内から生きた鳥インフルエンザウイルスが検出された報告は初めて。しかし、鳥インフルエンザのさまざまな種類のウイルス株がこれまでにどの程度、南極にもたらされているのかや、致死性のウイルスが到達しているのかどうか、ウイルスの生存を可能にしている動物や生態系については明らかになっていない。

 ハート氏らの研究チームは昨年1月から2月にかけて、アドミラルティ湾(Admiralty Bay)とコバドンガ港(Rada Covadonga)でアデリーペンギン約300羽からサンプルを採取した。このうち全体の約3%にあたる8羽のサンプルから生きた鳥インフルエンザウイルスが検出された。ペンギンはインフルエンザの症状は示してしていなかった。

 検出されたすべてのウイルスは当初、H11N2型ではないかと考えられていたが、動物および人間から検出されたウイルスのデータベースを用いて遺伝子配列を比較したところ、これまでに確認されているウイルスとはまったく異なっていたという。(c)AFP