【5月7日 AFP】米南西部で前週、航空交通管制センターのコンピューター障害で航空機の運航が混乱する事態が生じ、米メディアは5日、米軍のU2偵察機が混乱の原因だった可能性があると報じた。

NBCニュースなどによると、現在も米軍で使用されているU2は冷戦時代の偵察機で、U2の飛行計画をコンピューターシステムが誤って解釈したことでロサンゼルス(Los Angeles)地域の航空交通管制官向けにデータを表示するシステムに過剰な負荷が掛かったとみられている。

 この障害が連鎖反応を引き起こし、4月30日に米連邦航空局(Federal Aviation AdministrationFAA)がカリフォルニア(California)州パームデール(Palmdale)管制センターの管轄空域への航空機進入を禁止する事態へと至った。航空機への地上待機命令は全国的に約1時間にわたって続き、数百の航空便と多数の乗客に影響が出た。

 米国で最も運航便の多い空港の一つ、ロサンゼルス国際空港(LAX)では27の到着便がキャンセルとなり、多くの便に遅延や目的地外着陸が生じた。またカリフォルニア州南部の他の複数の空港でも遅延が発生した。

 米国防総省のスティーブン・ウォレン(Steven Warren)報道官は5日、「該当空域には当時、FAAの規定に従って飛行していたU2(偵察機)がいたことを報告する。U2は用意された全ての飛行計画を提出しており、これに従って飛行していた」と語った。ウォレン報道官によると現在、FAAが調査を行っている。

 今回のコンピューター障害は、新たに導入された高価な次世代航空管制ネットワーク「ERAMEn Route Automation Modernization)」の信頼性に疑問を投げかけるものとなった。すでにERAMは予算削減や技術的障害といった問題に直面していたが、前週の障害時では主システムとバックアップ・システムの両方に影響が出た。(c)AFP