【5月6日 AFP】米アップル(Apple)と韓国のサムスン電子(Samsung Electronics)がスマートフォンの特許侵害をめぐって争っていた訴訟で、米カリフォルニア(California)州サンノゼ(San Jose)の連邦地裁の陪審は5日、サムスンに1億1960万ドル(約122億円)の賠償金支払いを命じた2日の評決を維持した。

 陪審は2日に賠償額の評決を行ったが、サムスンからアップルに支払われるべき賠償額に不足があったとして判事が再計算を要請していた。陪審は5日、不足分は約400万ドル(約4億800万円)だったとしたが、他の項目の金額も若干変更したため、サムスンからアップルに支払うべき総額は2日に評決されたものとほぼ同じだった。

 サムスンに命じられた賠償金は巨額だが、アップル側が求めていた20億ドル(約2040億円)を超える金額は大幅に下回った。特許アナリストのフロリアン・ミューラー(Florian Mueller)氏は、上訴審でこの金額はさらに減額される可能性もあると指摘している。

 サムスン側は声明で「アップル側の甚だしい過大な損害請求を認めなかった陪審の判断に同意する。(サムスンがアップルの特許を)侵害したという認定には失望しているが、われわれはアップルによるサムスンの特許侵害を立証することができた。これは米国では2度目のことだ」と述べた。

 陪審は、この裁判で問題となったアップルの5つの特許のうち3つをサムスンが侵害したと認定した。一方でアップルがサムスンの特許を侵害したことも認定し、15万8400ドル(約1600万円)の賠償金をサムスンに支払うよう、アップルに命じた。

 2012年8月に同じ裁判所で評決が出たアップルとサムスンによる特許侵害訴訟では、アップルの特許を侵害したと認定されたサムスンが、特許侵害訴訟の賠償額としては過去数十年で最大となる10億4900万ドル(現在の為替レートで約1070億円)の賠償金(その後9億2900万ドル(同約948億円)に減額されたが、サムスン側が上訴)をアップルに支払うよう命じられ、明らかにアップルにとっての勝利だった。しかし、今回の評決はサムスンにとってある種の勝利だったと指摘するアナリストが多い。

 今回アップルがサムスンに侵害されたと主張していた特許は、指でタッチスクリーンをスライドしてロックを解除する機能や入力中の単語の自動修正など。一方、サムスン側はこれに対抗し、デジタルビデオの伝送とデジタル画像の保存に関連する特許をアップルに侵害されたと主張した。(c)AFP/Glenn CHAPMAN