ブルネイ系ホテルをボイコット、イスラム法導入に著名人ら反発
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【5月6日 AFP】イスラム教を国教とする東南アジアの国ブルネイで、石打ちなどの処罰を含むイスラム刑法を国王(スルタン)が導入したことに対し、英ヴァージン(Virgin)・グループのリチャード・ブランソン(Richard Branson)会長が同国系のホテルの利用を止めると宣言するなど、世界で反発が広がっている。
首相を兼任するブルネイのハサナル・ボルキア(Hassanal Bolkiah)国王は前月30日、最終的には石打ちによる死刑といった刑を含むシャリア(イスラム法)の導入を進めると発表した。
これを受け、ヴァージン・グループのブランソン会長は先週、スルタンが基本的人権を尊重するようになるまで、自社の従業員は英ロンドン(London)や米ビバリーヒルズ(Beverly Hills)で展開する高級ホテルグループ、ドーチェスター・コレクション(Dorchester Collection)系列のホテルを利用しないと宣言した。同グループは、原油産出で潤うブルネイの財務省が管轄する政府系ファンド「ブルネイ投資庁(Brunei Investment Agency)」が所有しているとされる。
また英俳優スティーブン・フライ(Stephen Fry)氏や米国のコメディアンでテレビ司会者のエレン・デジェネレス(Ellen DeGeneres)氏も、ドーチェスター系ホテルの利用のボイコットを呼び掛けている。
女性の権利団体フェミニスト・マジョリティ財団(Feminist Majority Foundation)も、ブルネイ王家が事実上所有する米ロサンゼルス(Los Angeles)のビバリーヒルズホテル(Beverly Hills Hotel)で予定していた国際賞の授賞式をキャンセルすると発表した。
ブルネイ国王の方針に対し、同国内では珍しい批判がソーシャルメディアを中心に巻き起こっている他、国連(UN)の人権関連機関など国際的にも非難の声が上がっている。
ボルキア国王は、イスラム教を強化し、外部の影響から自国を保護するためだとして、イスラム法の導入を正当化している。
イスラム法の施行については第1段階として、わいせつ行為や金曜礼拝の欠席、婚外関係で妊娠した場合などに罰金または禁固刑を科すとしている。また第2段階として年内に、窃盗や強盗などに対する刑の厳罰化を予定している。この中には手足の切断や公開むち打ち刑が含まれている。さらに同性間の性行為や不倫をした者に対し、石打ちによる死刑を科すことを含む刑罰を来年末までに導入するとしている。(c)AFP