仏、遺伝子組み換えトウモロコシの栽培禁止を法制化
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【5月6日 AFP】フランス上院は5日、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの栽培を禁止する法案を可決した。また同日には行政裁判の最上級審も栽培禁止を支持する判断を下し、これによって同国ではGMトウモロコシの栽培が全面的に禁止された。
法案は米バイオテクノロジー大手モンサント(Monsanto)が開発したGMトウモロコシ「MON810」を禁止する内容で、与党・社会党(PS)やヨーロッパエコロジー・緑の党(EELV)、フランス共産党(PCF)の左派政党が賛成した。同法案は先に国民議会(下院)でも、右派議員の反対を抑えて可決されていた。
トウモロコシ生産者協会(AGPM)の申立人らは、GMトウモロコシの栽培禁止命令によって厳しい経営危機に陥るとしてMON810の栽培禁止命令の撤回を求めていたが、フランスの行政裁判の最上級裁判所である国務院は同日、フランス国内でGM種子から栽培されるトウモロコシの量は非常に少ないとして、この訴えを退けた。
AGPMは、同国では既に2011年と2013年の2度にわたってGMトウモロコシ栽培の一時的な禁止命令が出されていたことから、今回の判断に「驚いてはいない」としている。
農業省は今年3月、欧州連合(EU)で唯一栽培が許可されている害虫抵抗性のあるGMトウモロコシ、MON810の栽培禁止を決定した。その決定の正当性については現在EUが、GM作物の使用に関する幅広い議論の一環として検討している。しかしEUの決定はどうあれ、加盟各国は独自に栽培を禁止する権限が認められている。
これに関しフランスは、今後GM作物の栽培をめぐる決定を各国の政府だけで行えるよう、EUの関与を排除していこうとする働き掛けを行っている。(c)AFP