【5月5日 AFP】自閉症の原因評価において、遺伝要因と環境要因が等しく重要であることを示す調査の結果が、米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA、電子版)に掲載された。

 米マウントサイナイ医科大学シーバー自閉症研究センター(Mount Sinai Seaver Center for Autism Research)などの研究チームは、スウェーデンで1982年~2006年に200万人以上から採取されたデータを調べた。

 調査の結果、自閉症で遺伝が関係していたケースは約50%で、環境的要因と同程度であることを発見したという。遺伝率については、これまでの研究で80~90%とされていた。

 今回の研究は、自閉症の要因が遺伝的なものなのか、それとも環境的なものなのかを解明することをテーマにした同様のものとしては、これまでで最大規模となった。自閉症の発症率は、世界では子ども100人に約1人、米国では68人に1人となっている。

 論文執筆者の1人で、同センターのアビ・ライヘンベルク(Avi Reichenberg)氏は「自閉症における環境要因の重要性がそれほど強いとは予想していなかったので、今回の調査結果には驚いた」と語る。

 論文では、どの環境要因が影響をもたらす可能性があるかは特定されていない。ただ通常は、家族の社会および経済的地位、出生時の合併症、母児感染、妊娠前や妊娠中に母親が服用した薬物などが環境要因として挙げられる可能性があるとしている。

 今回の論文には、英キングス・カレッジ・ロンドン(King's College London)やスウェーデン・カロリンスカ研究所(Karolinska Institutet)からの共同執筆者らが名を連ねている。

 科学的に完全な解明には至っていない自閉症の原因をさらに究明するには、さらなる研究を重ねる必要がある。最近の研究では、自閉症が出生前に起因し、母親の胎内で胎児が成長している段階で発生する可能性があることが示唆されていた。(c)AFP