【5月5日 AFP】ウクライナ南部の港湾都市オデッサ(Odessa)で4日、親ロシア派数千人が警察本部を襲撃した。同市では2日、ウクライナ暫定政権支持派と親露派の衝突と火災によって数十人の親露派が死亡したばかり。

 暫定政権は、東部の十数の都市や町を掌握した親露派武装勢力の排除を目指した軍事作戦を拡大しているが、南部オデッサでの騒乱は双方の攻防の新たな前線に発展する恐れが出ている。

 2日の衝突と火災で死亡した主に親露派戦闘員からなる42人の喪に服するためオデッサ入りしたアルセニー・ヤツェニュク(Arseniy Yatsenyuk)暫定首相は、人口約100万の黒海(Black Sea)沿岸都市オデッサでの騒乱について、ロシアが「独立国家ウクライナの破滅計画」を遂行していると非難。「わが国の東部で起きていることをオデッサでも起こそうと狙ったものだ」と述べた。

 一方でヤツェニュク暫定首相は、2日の流血の事態に対する報復を阻止するため、オデッサの警察幹部らを解任し、事実関係の調査を命じた。

 親露派に包囲された警察署では、警察側が2日に身柄を拘束していた親露派戦闘員150人のうち、半数近い67人を釈放し、群集を落ち着かせることに成功した。ただ、4日にはオデッサ市内で1人が撃たれ負傷したとの情報もある。

 4日午後8時(日本時間5日午前3時)すぎには現地のAFP記者が大きな爆発音を3回聞いたが、ある親露派武装勢力のメンバーは「戦いは終わった」と語っている。

 ロシア政府は、戦略上の要衝であるクリミア(Crimea)半島を3月に併合する以前に同半島に軍隊を派遣していたことを認めているが、ウクライナ東部やオデッサでの騒乱については関与を否定。暫定政権と、これを支持する欧米諸国に非があると主張している。(c)AFP/Michel MOUTOT、Max DELANY