若い血液の輸血で認知機能が向上、マウス実験で確認 米研究
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【5月5日 AFP】年長のマウスに若いマウスの血液を注入すると、マウスの学習能力と記憶力が高まるとした研究論文が、4日の英医学誌「ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)」に掲載された。若い血液は、老化した脳の機能低下に対する治療薬になるかもしれない。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)などの研究チームが発表した論文によると、人間の年齢で20~30歳に相当する生後3か月のマウスから輸血を複数回行ったところ、同56~69歳に相当する生後18か月のマウスの脳の構造に変化がみられ、また機能的な改善もみられたという。
論文の共同執筆者の1人、同大医学部のサウル・ビジェダ(Saul Villeda)氏は、AFPの取材に対し「若い血液の中には、老化の多くを改善できる特別な何かが存在すると思う」と語っている。
ビジェダ氏と研究チームは、脳の海馬領域がつかさどっている学習と記憶に関するテストを、年長のマウスに対して輸血の前と後で行い、結果を比較した。
テストの中の1つは、水中の隠れた台の位置を示す印を記憶する能力の測定で、駐車場のどこに車をとめたかを記憶するための物理的な目印を思い出さなければならない状況に似ているという。こうした機能は、年齢とともに低下する。
この実験結果についてビジェダ氏は、AFPの電子メール取材に「若い血を投与された年長のマウスは、隠れた台をより簡単に見つけることができた」と説明した。
研究チームはまた、脳の構造にも変化が生じ、ニューロン(神経細胞)の連結箇所が増加していることを発見した。
「若い血液の注入によって、年老いた海馬での分子、構造、機能、認知の各レベルで老化が妨げられたことをデータは示している」と論文は説明している。
この効果がどのくらいの期間持続するかについては不明だという。