シン・フェイン党首を釈放、北アイルランド警察
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【5月5日 AFP】英国の北アイルランド(Northern Ireland)警察は4日、カトリック過激派アイルランド共和軍(IRA)による1972年の女性殺害事件に関連し4日間の聴取を行っていたカトリック系民族主義政党シン・フェイン党(Sinn Fein)のジェリー・アダムズ(Gerry Adams)党首(65)を釈放した。
北アイルランド警察の声明によると、ジェーン・マコンビル(Jean McConville)さん誘拐・殺害事件に関連し逮捕されたアダムズ党首は、北アイルランド検察当局に書類送検されるまでの間釈放された。北アイルランド検察は今後、アダムズ党首の訴追に十分な証拠が存在するか、または訴追が公益に資するか否かを判断することになる。
アダムズ党首は殺人事件への関与を否定し、自身はIRAのメンバーではなかったと主張している。また、現在は活動を停止しているIRAの政治組織であるシン・フェイン党も、欧州議会選挙を今月に控えた中で起きたアダムズ党首の逮捕について、政治的動機に基づいたものと主張している。
同党首が先月30日に逮捕されて以来、北アイルランドでは緊張が高まっており、IRAと英当局が1998年に達した和平合意が損なわれる懸念を生んでいる。今月3日にはアダムズ氏の元選挙区であるベルファスト(Belfast)西部で北アイルランドの分離・独立を求めるデモ行進に約400人が参加した。
釈放後に記者会見したアダムズ党首は、今回の逮捕について「選挙期間中にする必要はなかった」とした上で、和平合意を順守する意向は現在も変わらないが、逮捕は「完全に間違ったメッセージ」を発するものだとして、警察を非難した。(c)AFP/Peter MUHLY